文部科学省からのお知らせ

コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進
~未来を担う子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現を目指して~

文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課 地域学校協働活動推進室

 文部科学省では、昨年度、「コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議」を開催し、今後のコミュニティ・スクールの在り方について、有識者による検討を行いました。この検討会議において取りまとめられた「最終まとめ」*¹では、今後の取組の方向性として以下の提言がなされています。

  1. コミュニティ・スクールは全ての学校に必要であることから導入を促進すること
  2. 導入後も質の向上に取り組むこと
  3. コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の両取組を一体的に推進すること

 本号では、このうち、特にご質問をお受けすることの多い3.について、ご説明します。

 コミュニティ・スクールは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に規定する学校運営協議会を設置する学校です。学校運営協議会は、地域住民、保護者、地域学校協働活動推進員等が、一定の権限と責任をもって学校運営に参画する、学校運営の強化を図るための仕組みです。学校運営協議会では、学校運営とそれに必要な支援に関して協議します。一方、地域学校協働活動は、社会教育法に規定する学校と地域が連携・協働して行う学校内外における活動の総称です。学校の授業や放課後、休日等における学習支援、自然体験活動、登下校の見守り等、様々な活動が展開されています。そして、これらを「一体的に実施する」とは、コミュニティ・スクールと地域(地域学校協働本部・地域学校協働活動)が、地域学校協働活動推進員等を中心に、学校の目標や課題、地域の課題、学校運営協議会における協議の結果等の情報を共有し、これらを踏まえて、相互に連携・協働して活動を展開していることを指します。
 例えば、浅口市立寄島小学校(岡山県)では、ふるさとに誇りをもつ子どもの育成をめざし、寄島の魅力(海)をテーマに、保育活動・生活科・総合的な学習の時間を核にした教育課程「よりしま学」を開発し、学習活動を展開*²しています。「それなら、学校運営協議会を設置していなかったけれど、うちの学校でもやっていたよ。」そんな声が、聞こえてくるかもしれません。ですが、学校運営協議会を設置する寄島小学校の「よりしま学」が、学校運営協議会を設置していない学校のものと異なるのは、学校運営協議会での協議を経て、つくられたものであるということです。また実際の学習活動は、多くの地域住民等の参画により展開されています。それをつないでいるのは、地域学校協働活動推進員です。この一連の取組について、学校運営協議会の会長は、「地域住民にとっても、子供たちとともに地域を学ぶことで、地域の良さや課題の再発見とともに、互いの人間関係が深まり、地域コミュニティの活性化につながる。」と振り返っています。

 コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に実施することは、「社会に開かれた教育課程」の実現、いじめや不登校等の生徒指導上の諸課題の未然防止・改善、学校における働き方改革の取組の推進等、学校が抱える課題の改善・学校運営の強化だけでなく、学校を核とした地域づくり、未来を担う子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現にもつながるものであると考えています。
また、学校運営協議会や地域学校協働活動に主体的に参画することは、これまで培った知識や技術を学校や地域の課題解決に活かせる自己実現の場や仲間との生きがいづくりの場にもなることが期待されます。
 退職教職員の皆様が、また新たな立場で子供・学校、地域とつながる、そして学校をよりよくする、地域を元気にする、これらの取組にご参画いただけましたら、幸いです。

*1「コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議最終まとめ~学校と地域が協働する新しい時代の学びの日常に向けた対話と信頼に基づく学校運営の実現~」(令和4年3月14日)

*2「地域とともにある学校づくり推進フォーラム2022兵庫」アーカイブ